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思い上がりたくない

エンペラーペンギン

全鳥類中、最も寒冷地に適応した鳥。それゆえ、彼らは氷の楽園を選んだ。

繁殖地は南極大陸に限られ、氷崖下の海氷上に集まって繁殖する。全鳥類中、もっとも純粋な南極種である。 巣は作らない。 秋、海氷ができた直後に一つだけ産卵する。 卵が産まれると、オスはメスの趾の上から自分の趾の上へと卵をもらい受け、腹部の皮(抱卵斑)をスッポリかぶせて抱卵する。
 オスが飢えに耐えつつ抱卵してる間に、メスは海に出て採食するために、海氷をよこぎって何マイルもの旅を続ける。 60日間にもおよぶ抱卵期がが終わるころ、メスが、オスと交替しヒナに給餌するために戻ってくる。こうして、オス達は長い断食から解放される。
 ヒナは、厳し冬のあいだじゅう、じょじょに独立するための力を蓄えながら育てられ、この状態は短いながらも餌の豊富な夏が始まるまで続く。 10・11月を迎え、南極に夏が来ると、彼らは大がかりな移動を始め、海氷の端にいくつもの群れをなして集まり、氷が割れて浮氷が出来るのを待つ。 浮氷が出来れば、この上に乗って北方に向かおうというのである。 若鳥達が生き残れるかどうかは、浮氷がなくなってしまわないうちに、はたして彼らが換羽を完了しいつでも海に入れるような状態になれるかどうかにかかっている。

…以上『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)より引用

生活史

エンペラーペンギンたちは、おそらく散らばって1〜3月を海で過ごす。3〜4月初めにコロニーに戻ってくる。 3〜6月初めに大きな卵(460〜470g)を一つだけ産む。巨大なコロニーを作るが、巣やテリトリーを持たない。 成長は特に連帯感が強く、特に抱卵中は、大きなグループや密集態勢を形成する。 産卵が終わるとメスは海に帰り、オスが抱卵期間中(64日間)の全責任を負う。 オスは到着から抱卵終了まで、115日間の絶食に耐えなければならない。 ヒナは準晩成性で留巣性である。 孵化後、45〜50日間は両親がヒナの面倒を見て、交替で採餌旅行に出かける。 それから、ヒナはクレイシ(共同保育所)を形成するようになる。 12〜1月初めに、だいたい150日齢でコロニーを旅立つまで、クレイシは維持される。 成鳥は繁殖後の1〜2月に、30〜40日かけて換鵜羽を行う。 一夫一妻制ではあるが、シーズン間のつがいの絆は極めて弱い(15%)

繁殖地への到着

海が凍り始めると、ペンギン達は繁殖コロニーに戻ってくる。 50〜120kmを歩く事がしばしばある。 ペンギン達はいっせいに、個々のコロニーに到着する。 しかし、より南に位置するコロニーでは繁殖サイクルは約1ヶ月ほど遅れる。 ペンギンが最初に到着した日付は、ジオロジー岬では16年間の中間値が3月12日である。 到着した個体数は、最初はゆっくりと増えてゆくが、その後は非常に急速に増える。 例えば、ジオロジー岬では、3月11日には9羽しかいなかったものが、3月20日には400羽、3月30日になると5000羽前後ものペンギンが到着している。
 オスはメスよりも数日早く到着する。 メスは到着から産卵が終わるまでの約40日間、何も食べずにコロニーで過ごす。 オスは到着から抱卵の終わりまで約115日間を、やはり何も食べずに過ごす。 ジオロジー岬では、最初の交尾が行われるのは16年間の中間値では4月18日である。

巣の分布密度

コロニーを作り、巣の場所やテリトリーはない。 ただし、つがい形成期間や産卵中、抱卵および育雛の交替、ヒナの給餌に際しては、つがいがいる場所の周囲はくちばしでつつける範囲で防衛する。

産卵

いっせいに起こる傾向が極めて強い。 最初の産卵が5月2日(ジオロジー岬、16年間の中間値)ないし、5月15日(オースター・コロニーでの1年の観測結果)で、最後の産卵が6月7日(ジオロジー岬での4年の観測結果)。

孵化

最初のヒナの孵化は、ジオロジー岬では7月5±2.2日であった。ヒナは孵化に24〜48時間を要する。 孵化率は中間値で77.6%で、卵がだめになる理由は、無精卵や質の悪い卵である(33%)、密集態勢の中で失う(45%)、けんか(攻撃的な相互干渉)によって壊される(10%)などである。

育雛

孵化の頃にはメスはコロニーに戻ってくる(7月半ば〜8月初め)。 しかし、その前にヒナが孵化した場合、ヒナは「ペンギン・ミルク」と呼ばれるオスの食道からの分泌物(タンパク質59%、脂肪28%)で育てられる。 この分泌物だけでも、ヒナの体重が倍になるまで育てる事が出来る。 ヒナは10日間まではオス親に育てられる。 それからオスは海へ旅立ち、24日間にわたってメスが育雛と給餌を行う。 オスが戻ってくるまでにはさらに7日間かかる。 ヒナは1ヶ月齢にもなると抱卵嚢(のう)から出て過ごすようになる。 クレイシ(保育所)が形成されるのは、45〜50日齢のときである。 クレイシ形成期間中は、ヒナが大きくなるほど、給餌のために親がコロニーを訪れる頻度が増す。 これは、浮氷が減って、外洋への距離が近くなったためである。この間ヒナは、それぞれの両親から6〜12回の給餌を受ける。 ヒナが換羽を始めるのは、11月初めで、親はヒナへの給餌をやめ、ヒナは換羽の完了を待たずにコロニーを去る。 外洋までは、12km〜61kmもの距離を歩かなくてはならなかった。巣立ち後半まで残っているヒナは皆やつれており、死にかけているものもいた。

繁殖成功率

ジオロジー岬では62.9%。オースターとテイラーのコロニーではそれぞれ58%と61%だった。 おそらくは、海氷の年ごとの変化と、親が採餌のため外洋まで出る距離の変化に関係しているのだろう。 海氷が早い時期、ヒナが巣立ちを始める前に壊れてしまった年には繁殖率は非常に低くなる。 コロニーによっては、オオフルマカモメが、ヒナにとっての主な捕食者である。 ナンキョクオオトウゾクカモメは巣立ちの頃にヒナを襲うが、捕食されるのは弱ったり飢えたヒナだけである。 ヒョウアザラシによる捕食は、巣立ちの頃のヒナの主な死因となり、成鳥でさえ捕食されている。 11月初め〜12月末にかけて、繁殖個体の0.5%が捕食されると推定されている。 成鳥はまた、シャチによっても捕食されている。 あるコロニーにおいては、氷河の崩落が成鳥の重要な死因であった。 しかし、これは全般的にみればそう多いものではない。

(作者… この書籍によれば1984年の個体数は19万5400繁殖つがい、全個体数は約40万〜45万羽と推定してます。
ここで、繁殖個体の0.5%が捕食されると推定して、19万5400×2×0.005=1954羽の親鳥がヒナの顔を見られないと、計算しました。)

…以上『ペンギン大百科』(平凡社)より引用

ディスプレーについて

「エンペラーペンギンの独身雄はコロニーの中で求愛の歌をうたうと、1〜2秒間立ち止まり、逆U字型に頭部を胸の方に曲げて (杖の頭のような首cou en crosse、プレボ・1961)大きく一息つき、頭をさらに低くして鳴き声を出す。 そしてまた歩き続ける。この一連の行動をさらに繰り返すと、雄を受け入れる雌は凍り付いたように立ち尽くしながら、出来るだけ高く体を上へ伸ばす。 すると、近づいた雄が同じ動作をして体を上へ伸ばすので、その結果、雌雄が向かい合う形になる(フェイス・ツー・フェイスface to face、プレボ)。
 かれらは首の筋肉を徐々に縮めながらゆっくり頭を持ち上げ、その姿勢で数分間立ち尽くす。 そして少しずつ緊張をといていき、ふつうの姿勢をとるようになる。 ここで雌雄は、別れてそれぞれ別の新しい配偶者を探し求めるか、何時間か一緒にいた後、つがいを形成して卵が産まれるまで離れないかのどちらかを選ぶ事になる。 一緒になると、雌が雄の歩くあとについて歩き回りながら、両者はプレボ(1961)が名付けたよたよた歩きwadding gaitをする。
 日が経つにつれて、おじぎbowingが観察されるようになる。 1羽がおじぎをすると、すぐ他の1羽もおじぎをするといった動作で、最終的には、メスがおじぎしてる間に、オスがくちばしで相手の首の後ろに触れる。 するとメスはすべるように地面に腹ばいになり、オスがその背に乗りかかる。 そして、くちばしでメスの首を時々つつきながら、体を安定させるために両方のフリッパー(翼)でメスの体を両脇から挟んで交尾を行う。 交尾の後、かれらは離れるか、時には胸と胸を合わせて立ったり、横たわってフリッパーとフリッパーとを合わせたりする。
 産卵は、おじぎの間におこる。卵が産み落とされると、雌雄は相互ディスプレーmutual displayを行い、最初のデュエットを鳴き交わす事になる。 この姿勢は、単独で歌っている姿勢とほぼ同じものである。
 産卵につづいて抱卵・育雛交代が開始されると、交代のたびにこの過程は繰り返されるが、フェイス・ツー・フェイスとよたよた歩きは省略され、 求愛の歌、相互の出会い、デュエット、卵や雛を見せながらのおじぎといった行動は残る。」

…以上『ペンギンは何を語り合っているか』(どうぶつ社)より引用

参考書籍

… 上部ムービーは、下記書籍を参考にしました。

  • 『ペンギン大百科』(平凡社)の話しとイラストを参考にしました。

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  • 『ペンギンになった不思議な鳥』(どうぶつ社)の話しを参考にしました。

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  • 『ペンギンは何を語り合っているか』(どうぶつ社)の話しを参考にしました。

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  • 『ペンギン』アイコンシリーズ (タッシェン・ジャパン(株)発行)(洋販 発売)の写真を参考にしました。

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  • 『ペンギン・ファミリー』(株式会社エクスナレッジ)の写真を参考にしました。

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  • さだまさしの『津軽』(CD『風のおもかげ』)から着想しました。

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  • さだまさしの『風に立つライオン』(CD『さだまさし ベスト』)から着想しました。

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